土間再考
事務所開設当初から多くの住宅に「土間」を設けてきました。
今回はその土間についてのお話の再考。
日本には古くから土間が存在している住まいがあります。
それが町家や農家であれば、通り抜けが出来たり、
作業場や履物を脱がないまま気軽にそこでお茶を飲んで休んだり出来る場。
それぞれがちゃんと意味を持ち存在しています。
そこで、今どきの住宅にもこの「土間」を再現できないだろうか・・・
と考えました。
現代の住まいには、このような場所がありません。
せいぜい狭小な靴脱ぎ場があるくらいで
あとは使い方を限定した「部屋」で占領されているからです。
使い方を限定しないで、使いたい時に使いたいように使う。
そんな場所があってもよいのでは。
しかし、面積的に制限される現在の状況からすると、
すごく無駄な空間に感じる方もいるはず。
では、考え方を少しだけ変えてみましょう。
どの家にも玄関はあるはず。そして長い廊下も。
このようなスペースをまとめてみると、
面積的にちょっとした部屋が出来てしまうくらいの場所が生まれます。
これまでに設計した家の「土間」は、
入り口から庭先まで通り抜けられたり、
帰宅してそこでちょっと一休みしたり、
家族の気配を繋ぐ共有の場であったり、
趣味の場であったり、
子供たちがそこで遊んだり、
簡単な接客の場であったり、
薪ストーブを囲むくつろぎの場であったり・・・
と使い方は限定されていません。
また、リビングそのものを土間にして
屋外テラスと連続させてしまうという家もあります。
これはウチとソトを曖昧にすることでより一層空間を豊かにします。
それぞれの家族が、この共有できる自由空間を楽しみながら生活しています。
ソトとウチの中間に位置する何とも不思議な場所。
固定概念にとらわれない場所。
今後も、更にこの「土間」の在り方を追求していきます!
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